お遍路忘備録

お遍路で気がついた事、意外な事など

山道おへんろを考察する

 今まで登山はあまりしたことがなかった。

 ただ、お遍路を始めるに際して、身体を鍛える必要はあるだろうと、毎日昼休みにポケモンをつかまえたり、ドラクエをやりながら、その辺を歩いたり走ったりして、週末には長時間のウォーキングをするのが習慣となった。

 登山に対する知識もなく山道に挑んだので、踏破してから「あれもしとけば」とか「これもやっとけば」とか「あれはどうなんだろう」「これはどうなんだろう」など疑問も湧いた。

 

 まず自分の山道に対する認識の甘さである。

 弘法大師様も、まさか事前に標高や所要時間などをチェックして山道を踏破してはいないだろうけど、事前にある程度プランを練っておくべきだったなと。

 地図を見ても、そこが山中であるにも関わらず、山を歩く心構えが全く出来ていなかったと思う。お遍路の予定を組むときにもルートの高低差や地形などもチェックしていたら、15分で1km進むプランは立てていなかっただろう。

 

 トレーニング自体も、長時間歩行への対応の方が大事なのではと思って途中から歩きに重心を置いたのも、あまり良いとは言えない気がする。結局、山を登るときに必要な体力は歩行よりランニングしている状態のほうに近いと思った。急な上り坂だと心拍数は150位にまで上昇し、トレッドミルだと時速9キロくらいで走っているのと大差ない状態だ。歩行だといいとこ130程度。ジョギングで持久力をつけるトレーニングも継続した方がよかったかもしれない。

 ペースが速すぎるのではとも思ったが、かなりゆっくり目に上らないとすぐに心拍数が上昇するのは、持久力のトレーニング不足が一員であると思われた。ただ筋肉痛の回復が早いのは、普段の歩行トレーニングによって、それなりに足腰が鍛えられている証拠だと思う。基本的な歩行のテクニックは間違っていないし、下りも自然とジグザグに降りたり、着地をソフトにする歩行を悟ったり、小股で刻むようにしたのも良かったと思う。ほとんど経験がないにしては、うまくやり過ごしたとは思う物の、全体的な筋力アップも必要かと思った。

 もともと足腰の骨格がまっすぐに整っているのもあり、かつ慎重に足場を選んで歩行したのもあり膝や足首などは全く痛む気配が無かった。今後も同じように歩んでいけたらと思う。山で歩き回る際には、スキーで学んだ山の斜面と人間の立ち姿勢による重力の方向についての考察が役に立ったかと思う。雪山でも夏山でもスキーでも靴でも、安定した姿勢で立っているのに必要なのは基本的に同じ姿勢だからだ。

 

 予想外なのはマメが全くできなかったことだ。マメの発生する条件として、足が湿ってふやける、摩擦、圧力の3つらしい。雨の中を足の裏が真っ白になるくらいマリンブーツのように、たっぷんたっぷんさせながら歩いていてならないのは、靴が本当に足にフィットしているからとしか考えられない。そして通気性がすごくいいからかも。よくよく考えてみたら、ドライヤーにあてて内部もすぐ乾くのは、通気性が良いことの証明かもしれない。たいした靴ではないものの、条件にぴったりはまっているのは我ながらすごい。念のために買ったテーピング用のテープは当分出番が無さそうな感じがする。

 そして歩行訓練は、マメ対策にはかなり効果的だったと思われる。もともと足の裏が痛くなりやすいのだけど、足の裏の着地などの動きを徹底的に意識して行う事で、足の裏が全く痛まないようになった。足が靴の中で擦れてマメができるのだとすれば、きちんとしたフォームが出来ていなくて、おそらくは足の指側で着地して、そのままはねるように蹴っているのだろう。これだとマメだけで無く、ふくらはぎも疲れてしまう。

 また2回目の山道では、下山の際に石ころがつま先に当たって痛かったことを考慮して、つま先を反らせるくらいの意識でかかとから着地してみたら、石ころはたいして気にならなかった。怖さが先に立って、つま先歩きをするから良くないと悟った。もともと足首の柔軟性はそんなに良くないので、今後も意識してストレッチする必要があるかもしれない。