お遍路忘備録

お遍路で気がついた事、意外な事など

山道、再び#20〜22 鶴林寺、大龍寺、平等寺

 鶴林寺へは、JR徳島駅から南小松島駅へ。さらにバスで生名(いくな)へ。バスがなかなか来ない。8時出発のバスが駅前のバス停に到着したのは8時15分を過ぎた頃だった。

他にもバスを待っているお遍路さんがいて登山道入り口まで相乗りタクシー利用を誘われたが、前日の高速バス利用で軍資金が心許ないので断った。多分一人2500円ってところ。

「山を登っている時間がたりなくなるから」という言葉が気がかりだった。それとそのお遍路さんの服装が、どうみてもガチの登山装備だった。なにか嫌な予感がしながらもバスで生名へ。

 降りるときにふと何気に後ろを振り返るとお遍路装束の外人さんが不安そうな表情で座っていたので、なんとなしに「にこっ」てする。

 バス停の近くでナップサックを背負おうとしていたら、その外人さんに声をかけられる。話を聞けば聞くほどに心配になった。足の調子が悪いので(焼山寺辺りでひどい目にあったのだろう)タクシーで行きたいが、スマホは持ってないので、その辺の村人に頼んで迎車してもらうつもりだが、全く日本語が話せないんだとか・・絶句だ。同行しても良かったんだけど、まあ一人でもなんとかなるだろうはお互い様なので道を急ぐ。翌日、徳島駅前のバスターミナルでばったりと出くわして、ちゃんと回れたという話を聞いて安心した。結局タクシーに乗れるまで45分かかったらしい。お迎え代込みで2000円くらいはかかりそうだ。

 つまり私はタクシーの誘いを2度断ったことになるが、若干後悔してしまう山道だった。ひたすら登りが続くお遍路道だった。バスの遅れもあり時間的にかなり厳しい感じ。

 お寺でお参りをしようとしていたら、最初にタクシーのお誘いをしてくれた女性に遭遇。彼女もちょうどお参りを終えた所らしく、バスで遅れて来たのに速いと驚いていた。タクシーなら下手すると30分近いアドバンスがあるはずだからね。焼山寺にお勤めの方からも「速い」と言われたけれど、もしかしたら本当にペースが速いのかもしれない。上っている最中は脈拍数が140以上で常に息が切れているような感じで体力の消耗も疲労もかなり激しい気はしていたけれど。

 そしてお参りをして気合いを入れて太龍寺へ。ここも山道に難儀する。約7km。太龍寺に着いたのは13時30分ごろ。1時間15分の遅延である。到着の手前2km辺りから雨も本降りに。お参りをすませて納経所前でポンチョを着込んでいたら、タクシーの女の人に再会する。彼女は平等寺はあきらめてロープウェーで下山してそこからバスで徳島へ戻るという。歩いて行くとぎりぎり間に合うか間に合わないかの距離だ。うーん・・どうしようと悩んだ結果、約11kmの山道を精一杯平等寺へ走ることを決意する。iPhoneの目的地に平等寺をセットし、歩きやすさを優先して県道を通って行くルートへ。アップルウォッチには、到達予定時刻が表示され出発時点で16時49分となっていた。下り坂をスリップを警戒しながら小走りに一気に駆け下りた。坂道は、滑りさえしなければじわじわ歩くより走った方が足の負担も軽いと思った。結果的に9分短縮して16時40分到着。水たまりももろともせずに走ったり歩いたりしたため全身濡れ濡れに。でもちゃんと間に合った。

 希望を失わずに決意したことを最後までやり遂げる根性が大事だと悟った。そうすれば自ずと結果はついてくるのかもしれない。

 決意・・ふとundertaleを思い出してしまった。

平等寺への坂道を早足で駆け下りている時に、年配のお遍路さんご一行とすれ違った。駐車場に車を止めて登山道を上ってきたと思われるが、かなりきつそうな様子で、全員動くのもままならない様子だった。横を通り過ぎようとすると「速いよ、若いから」って口々につぶやいておられて、奇妙な感じだった。ひたすらの登りでしんどいんだろうな。何か励ましになる言葉でもかけられれば良かったなと反省する。私も余裕が全然なかったな。

 

 それと、昨日余分に回るべきだったのは薬王寺では無く、平等寺だったのかもと思ったけれど、それはこの時点での結果であって、次にまたお遍路する時には違った結果が待っているかもしれないので、結果的に1つ多く回れたという事実をよしとして受け入れようと思った。

 バスが遅れたり、キツい山道だったのにちゃんと3つ回れたんだからすごいもんだよ。結局ガチな登山装備の人はタクシー代やロープウェー代を費やし、ガチな装備で望んだけれど、何かが足りなかったのだろう。