お遍路忘備録

お遍路で気がついた事、意外な事など

お遍路転がしの感想#11〜12 3日目 バスに間に合う

朝7時34分徳島発の電車で鴨島駅へ。本当はもう一つ早い列車で行きたかったが、身体疲れてしまい支度に手間取る。

 

納札は暇な時に全部書いてしまう位の方が効率が良い。疲れていてあれこれ準備は結構辛いから、やれる時にやれる事を全て済ますべきだろう。

 

お遍路の経験談に、この後の8時11分の電車を利用する話があるが、私の経験では勧められないプランだ。

藤井寺から歩きで行くなら、人に寄っては始発でもちょうど良いかも。

 

その位、山道は厳しく時間がかかる。

私は5時間で踏破して、焼山寺を1530頃に出発出来たお陰で、帰りは麓のバス停から神山町営バスの役場行きの1632最終のバスに乗り、さらに徳島駅行きのバスに乗り継ぐ事が出来た。

納経所にお勤めの方から、5時間で踏破したあなたなら間に合うからと貴重な情報をいただいたので乗ることが出来たのだ。

もし8時11分の電車なら、少なくとも4時間を切るペースで山を越えないとまずバスには間に合わない。間に合わなければ、さらに8km近く麓まで歩くか、途中の旅館に泊まるしかない。

この最終バスは時間の関係上なかなか利用が難しいとも言われているが、出発を早めれば乗ることが可能なのだ。ちなみに次の大日寺までは遍路道で約20kmである。

焼山寺から麓のバス停まで約4キロだが、石ころだらけのお遍路道を、トレイルランよろしくで駆け下りて10分前に到着。

「あなたなら間に合う」この言葉が、私に力を与えてくれたんだと思う。

 

山寺へのお遍路道は、ただの登山道であり装備や体力がないと越えられない難関だった。

絶対に必要なのは杖。金剛杖でもトレッキングポールでもいい。急斜面の登りと下りがあるので、長さを変えられる物がベター。山登りする人なら当たり前だろうけど、道は岩や石がごろごろしているうえ、滑りそうな場所や水で濡れている所もある。杖が無いと無理だ。

靴も大事だ。焼山寺にたどり着く事だけを考慮すれば、トレッキングシューズがいいけれど、他のお寺をまわるのに平地も歩く事を考えると、なるべく底の厚いランニングシューズも使える。

そして鞄。通販のお遍路さんショルダーは避けるべきだった。胴に回すヒモのついた登山用のナップサックが身体に負担がかからない。

かなり汗をかくのでタオルも。杖を持つ手が汗ばんだ際にもいい。

水は500mlのペットボトルで十分。途中で自然のわき水の給水ポイントが何カ所かあるので、そこを活用すればよし。

荷物を軽くする工夫の一環で、食事は携帯食を持参すると良い・・チョコレートバーとか。食べるものを何も持たないのは避けたい。

そして普段からの運動習慣。普通の登山者やトレイルランナーが楽しんでいる場所なので、それなりに体力がないと立ち往生してしまうかも。しかし道中で会った人はほぼ女性だった。それも中年以上と思われる人たち。外人さんは若そうな女の子だったけど、彼女はかなり健脚だったと思う。

私が藤井寺を出てほぼ同時にスタートした人らが3組いたけれど、結局お参りしている最中に外人さん以外の顔を再び見ることはなかった。

人生、山あり谷ありとはよくいったもので、焼山寺へ続く遍路道がまさにそれだった。

 

また人間には時間が2種類あって、物理的な時間と精神の時間だ。物理的な時間は不変であり逆らうことはできないが、精神的な時間は飽きや退屈、精神集中の程度とか人の励ましなんかで長くも短くもなる。長く歩いていると身体は当然疲労するけど、気の持ちようで紛らわせることもできるのである。・・なんてことを考えた。