お遍路忘備録

お遍路で気がついた事、意外な事など

高野山が仏教系テーマパークに思えた事について

 連休を利用して高野山へお参りに行った。

 

 何かあったら嫌だなと思い、前日に南海難波駅特急こうやの指定席乗車券を購入したのは正解だった。

 

 特に往路だけで無く、復路も買っておいて正解だった。

というのは、連休と言うこともあって、観光客で大混雑だったからだ。当日購入だと全然間に合わないようだった。

 

 正直、お寺で有名な街が人気の観光スポットだというのは、北海道の人間はほとんど知らないし、私も今回行ってみて初めて知った。こんなに人気とは。

 

 ガイドブックや交通機関でもらえるパンフレット、チラシに掲載されている飲食店は、どこも行列が出来ていた。

 私は、ごま豆腐のレストランに突撃したが、名物の曼荼羅豆腐懐石は売り切れてしまうし、私より後に入店出来た人は、ごま豆腐を口にすることすらできなかったみたい。ごま豆腐は、濃厚な味わいで、砂糖の入っていないプリンのようで、好きな人は好きなんだと思う。私はいいなと思った。

 肝心のお寺参りも、奥の院に向かう人の多さに驚いた。日本人だけでもこれだけの人手なら、インバウンドがあった頃はさぞ賑わっていたのだろうなと想像する。納経や御朱印をもらっている人も、とても多い。

 私のようなお遍路さんも散見されるが、普通の観光客の人らが大多数を占めていて、子供連れも多いのにはびっくりした。子供がお寺の観光なんかして楽しいんだろうか・・と。さらに赤ちゃん連れに到っては・・どうなんだろう。

 歴史上の有名人物のお墓があったり、いろいろな大企業の物故者のお墓があったり、震災の碑だとか、みな「ふーん」とか「へぇ」といいながら眺めているようだった。

 更に奥の院から一の橋への道すがらには、姿見の井戸だとか、地獄で責め苦を受ける人々の叫び声が聞こえる木だとか、罪の重さに比例するらしい石だとか、見るだけでなく触れて楽しむ的な場所もあった。

 姿見の井戸は、井戸を覗きこんで自分の姿が見えなければ3年以内に命が尽きるという伝説があるが、ちゃんと見えてはぁぁぁ・・良かったと独り言を言っていたら、そばにいたおじさんににやりとされた。さぞ間抜けに見えたんだろうな。

 地獄からの叫び声が聞こえる木に耳をあてても、当然そんな音は聞こえず、聞こえてもせいぜい通行人の砂利を踏む足音くらいだ。私の後に耳をあてていたご婦人も「ほんとだ、なんも聞こえない・・でも私地獄の叫びなんて聞いたこと無いから、本当に聞こえていたとしても、わかんないんとちゃう?」となかなか鋭いつっこみを入れていた。確かに、私もまだ地獄に行ったことがないので分からないはず。座布団1枚。

 罪の重さと正比例する重さの石に関しては、女性だと片手ではまず無理な大きさと重さだった。それでも片手で掴み挙げようとしたけれど、そもそも左腕は肘の手術をしているから、そんなもの持ち上がるわけ無いし、右手でも全然無理で、相当に罪深いんだなと苦笑した。後に並んでいた女性が腕2本で挑戦したが無理だった。多分、10kg近くあるんだと思う。男性なら持ち上がる人もいるかもしれないけれど、女性だとバレーボールの選手とかバスケとか、ソフトボールだとかの球技や、陸上のハンマー投げとか砲丸投げの選手とか、レスリングの選手とか、重量挙げだとか、そういうアスリートで無いと無理だと思った。高野山は女人禁制だったというから、まあ気にするまい。

 今はコロナでやっていないが、写経体験だとかガイド付きツアーだとかもあるらしい。宿坊でお寺の1日を体験するのも、勉強になるかもしれない。

 きれいな塔やお寺、お堂がたくさんあり、紅葉のシーズンとあって、それらが紅葉と相まってとても美しい景色を作り出していた。

 観光客の人々は、こういった自然とお寺の織りなす光景にひかれて訪れているのかもしれない。確かに、山の奥深くにあって、都会では見られない里山の景色は、人々に新鮮に映るのかも。さらに体験スポットやら、食べて楽しむ場所もあって、さながらテーマパークのようだった。ディズニーランドがミッキーマウスが案内する夢と魔法の王国、USJが映画の世界を堪能できる場所なら、高野山空海弘法大師がヒーローで仏教をテーマにした場所という風に対比できると思った。